大阪湾スナメリ調査
チーム名(法人名)
学校法人 滋慶学園
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サブ SDGsゴール
スナメリ(Neophocaena asiaeorientalis)は、台湾海峡以北の沿岸域および一部河川に生息する小型鯨類である。日本においては、仙台湾~東京湾、伊勢湾・三河湾、瀬戸内海・響灘、大村湾、および有明海・橘湾に主に分布している。瀬戸内海における同種の生息数は、1970年代中盤~2000年にかけて減少した可能性がある。とくに同海の中・東部海域における生息密度の低下が著しかったようである。こうした生息状況の悪化には、漁業、化学汚染、埋め立ておよび浚渫などの人間活動が関与した可能性が指摘されている。瀬戸内海東端にある大阪湾は漁業や海岸線の利用などの人間活動がとりわけ活発な閉鎖性海域である。しかしながら、スナメリの生息の実態については明らかにされてこなかった。そこで大阪ECO動物海洋専門学校(開始当時は大阪コミュニケーションアート専門学校)は、2005年より南海淡路ライン株式会社、大阪府水産試験場(現:大阪府立環境農林水産研究所水産技術センター)、国土交通省近畿地方整備局、および海遊館と連携して大阪湾におけるスナメリの生息状況を把握するための調査を行った。結果、大阪湾においてスナメリは岸和田市から岬町沖の湾東部海域に主に分布することが明らかとなった。その海域に本種の繁殖期である春~初夏に比較的多く来遊することがわかった。大阪湾中部海域におけるスナメリ密度は、来遊ピーク時で0.238頭/km2と推定され、他海域と比べて生息密度は低いことが推察された。得られた成果の一部は、学術論文等で発表するとともに、テレビ番組、新聞、各種イベント、および一般書籍などを通じて社会へ発信した。さらに2013年~2019年には毎年、海遊館と共同で一般市民を募集し大阪湾においてスナメリ観察会を開催してきた(2020年と2021年は新型コロナの影響で中止)。こうした活動が評価され、2012年度に大阪湾再生推進会議より「魚庭の海」賞が授与された。今後も水族館等と連携しながら、大阪湾のスナメリの生息状況をモニタリングするとともに、その成果を社会に発信し続けていきたいと考えている。
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