「課題の先にある「進歩」を信じて―万博が遺したもの」特別掲載のお知らせ

(一社) 夢洲新産業・都市創造機構 理事であり (一社) 関西経済同友会 特別幹事(前代表幹事) であられる宮部義幸氏による特別寄稿エッセイ「課題の先にある「進歩」を信じて―万博が遺したもの」を特別掲載いたします。
宮部氏は2025大阪・関西万博を中心となり成功させた方のお一人です。
「課題は解決されるためにこそ存在する。そして、それを乗り越えた瞬間にこそ、人類の進歩が生まれるのだ」
「挑戦すれば未来は変えられる」
「万博が遺した最大のレガシーは、目に見える建物や技術ではなく、私たちが課題に立ち向かい、それを乗り越えたという「姿勢」そのものです。挑戦する心を失わず、課題を愛し、立ち向かい続ける。」
2025大阪・関西万博の最重要なレガシーとして、今だけでなく、30年後、50年後・・・の金字塔となる、大変貴重なメッセージが記されています。心に響く素晴らしい珠玉のエッセイを是非ご覧下さいませ。

逆風の中に見た「人類の進歩」

私が関西経済同友会の代表幹事を拝命した2年間は、まさに大阪・関西万博という巨大な山に向かって取り組んできた、ラストスパートの日々でした。
振り返れば、開催が近づくにつれ、私たちの前には文字通り「壁」のような課題が次々と立ちはだかりました。資材高騰や人手不足、建設の遅れ。チケットの売れ行き。それらが報じられるたび、世間には「本当に開催できるのか」「何のための万博か」といった厳しい問いが投げかけられ、時に逆風として強く吹きつけることもありました。
しかし、私はその中に身を置きながらも、不思議と悲観することはありませんでした。人類の歴史とは、当時の人々が「不可能だ」と断じた課題を、知恵と情熱で一つひとつ「可能」に書き換えてきた足跡そのものだからです。「課題は解決されるためにこそ存在する。そして、それを乗り越えた瞬間にこそ、人類の進歩が生まれるのだ」という信念が、常に私の支えとなっていました。

確信、そして結実の瞬間

万博が無事に開幕し、世界中から人々が集い始めた熱狂のただ中の2025年5月、私は任期満了を迎えました。退任の挨拶に立ったあの日、万博の最終的な評価はまだ定まってはいませんでしたが、私の心は一点の曇りもなく晴れやかでした。死力を尽くして課題に立ち向かい続けた関係者の眼差しの中に、すでに成功の種火が灯っているのを確信していたからです。
会期を終える最終日のイベントにお招きいただいた際、会場を埋め尽くした笑顔と、次なる時代への期待に満ちた空気を感じ、私の確信は揺るぎない事実に変わりました。私たちが守り抜こうとしたのは、単なるイベントの形式ではなく、「挑戦すれば未来は変えられる」という、この国が忘れかけていた自信だったのではないでしょうか。

誘致から閉幕まで―すべての「挑戦者」への謝辞

ここで改めて、深い感謝を捧げたい方々がいます。2018年の誘致決定前から今日に至るまで、この壮大なプロジェクトに関わったすべての方々です。
誘致のために世界を駆け巡った方々、現場で汗を流した技術者、独創的な展示を創り上げたプロデューサー、クリエイター、そして会場で来場者を温かく迎えたボランティアの皆様。一人ひとりの「挑戦」が積み重なり、この奇跡のような空間が実現しました。皆様の献身的な尽力こそが、関西の底力そのものでした。

次代を担う皆様へ、課題を愛する勇気を

今、この原稿を手にしている次代を担う皆様に、心からお伝えしたい。
目の前に困難な課題があることを、どうか嘆かないでください。それは進歩の前兆であり、私たちが新しく生まれ変わるためのチャンスです。万博が遺した最大のレガシーは、目に見える建物や技術ではなく、私たちが課題に立ち向かい、それを乗り越えたという「姿勢」そのものです。
挑戦する心を失わず、課題を愛し、立ち向かい続ける。その積み重ねの先にこそ、関西の、そして日本の輝く未来が開けると信じてやみません。これまでのすべての縁に感謝し、これからも引き続き皆様と共に歩んでまいる所存です。

Essayist

宮部 義幸

YOSHIYUKI MIYABE

一般社団法人 夢洲新産業・都市創造機構 理事

一般社団法人 関西経済同友会 特別幹事(前代表幹事)
パナソニックホールディングス株式会社 客員

Profile Picture

(株)健康都市デザイン研究所 HP 「叡智の泉」 にも同エッセイを掲載しております。
その他のバックナンバーもこちらからご覧いただけます。